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一夜目
目を開けた。私を見ているのは五人の人間たち。まるで物珍しいものでも見るかのように私は見据えられていた。
【すみません、寝ていたようで】
私の声に呆れたように、笑ったりため息を吐いたり、そもそも無反応だったり、反応は様々だ。
「おはよう。随分ぐっすりだったみたい。良い目覚めかしら?」
凛とした女性の声が、その空気を遮った。眼鏡の奥の明紫の瞳は私の心を見透かすように静かに笑んだ。同色の髪は風に揺れ、白い透き通るような肌は街灯に照らされて青白く見える。
「ねえねえ! 君がボクたちを呼んだんでしょ? 」
桃色の長い髪に蒼色の瞳を持つ少女はそう飛び跳ねながら私の手を取った。私が彼女たちを呼んだ。確かにそうかもしれない。そんな気がしてきた。
「いきなり黒い影に襲われたかと思ったらこんな路地に転移させられるし、わからないことだらけすぎるんだよね〜」
少女はそう言って後ろ手を組む。黒い影。だんだんと思い出してきた。私は――。
「……ようやく夢から戻ってきたような顔をしているね、幻想神」
白い髪に蒼い瞳の美青年が静かな、しかし通った声でそう言葉を紡ぐ。私は彼を知っている。随分長い付き合いになる、私が『まだ人間だった頃』からの付き合いだ。
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