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「はあ、はあ、ここまで来れば、大丈夫かしら」
「うっうっ、ママー、こわいよ。なんでいつもいつも追いかけられるの? パパに会いたいよー」
「パパのことは忘れるのよ。パパは、あいつに捕まってしまったのだから」
「パパに会いたいのは、みんな同じだよ」
木の陰に座ってようやくひと息つくと、オトウトが恐怖のあまり泣き出す。泣き出すオトウトをママとボクとで慰めるのは、もうこれで何度目だろう。
パパに会いたい。
それは、思っていても決して口にすることはなかった。余計に寂しくなるから。
ボクらを逃がすためにあいつを惹き付け、そして捕まったパパ。
どうなってしまったのかは、誰も知らない。
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