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「うそっ、こんなところまで!? 立って! あいつが来たわ!」
「もうやだっ、走れないよー!」
「頑張れ! 逃げないと捕まるぞ!」
ママが揺れる草の音を聞き、すぐにボクらはまた立ち上がる。ボクらには休む暇もないのか。
疲れきった足で躓きそうになりながら走り出す。
早く。もっと早く。立ち止まったら捕まる。捕まったら何をされるか分からない。
もう嫌だ、こんな生活。
自然と目尻から溢れる涙が、走っているせいで後ろに流れる。
「おい、ちゃんとついてきてるかっ!?」
……返事が、ない。
ぞわりと、嫌な予感がする。振り向くのが怖い。
おそるおそる首を後ろへ向ける。
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