第一章 メイド編

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 ピーンと張った糊のついた黒いエプロンとハイネックの白ブラウス、灰と黒のストライプのリボンタイ……胸は強調されないデザインなので俺が男でも違和感は感じられな……感じるよーっ!  今迄に感じたことのない股辺りがもぞもぞするし心もとない……股下が布に覆われていない分スースーするのは履いているのがスカートだからだ。  それにしても、屈めば尻が見えるんじゃないのかな、このスカートの丈サイズ……!  個別の更衣室から出た俺は、気になる短いスカートの裾をぐいぐいと両腕で引っ張って股辺りを隠した。 「へぇ……君、脚がきれいだね」  うひゃ!何頭身あるの、めちゃくちゃスタイルの良い美人のメイドさんが俺に声を掛けてきた。腰まである艶やかな黒髪、きめ細やかな肌、ゴシックメイド服姿……カッコ可愛イイな。  けどよく顔を見たら先ほど優雅に椅子に座って微笑んでいた新人さんだ。  凄い、めちゃくちゃ美人!生の美人メイド!思わず股間のアレが気になりだした……だから男の子だから俺。今まさに、オメガの性なんて忘れている。  サラッと長い髪ごと動いた美人メイドさんは俺の方に歩み寄って来て、なにを思ったのかスンスンと形の良い鼻を俺の首元に寄せてきた。 「君から、(かぐわ)しい甘い匂いもする」  甘い香り? 「あ……シャンプーの匂いかな?」  母さんが柔軟剤やら芳香剤な匂いに凝っていて割とキツイんだよね。 「そういう匂いじゃないよ。瀬那君から微かに洩れてる……僕だけが感じたりして」 「え?俺…名前…あ…ぼ、僕って…っ」もう、何から驚けばいいんだろっ 「僕も君と同じく性別は男だよ、仲良くやって行こう」  同じ?男?メイド?俺と同じ……って事はもしかして別の花嫁候補ですか!?
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