第一章 メイド編

10/33
1708人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
 園城家に花嫁修業改めメイド修行に来た俺、野村瀬那(17歳)は、今日で5日が経った。  特に何もなく、メイドの先輩たちに掃除の達人になるようなしごきを受けている。最初、アイドルになるわよなんてメイド長に言われていたのに嘘つきだ!  広いお屋敷を隅々まで注意を受けながらピカピカにすることを強要されて腰やら足やら腕やらが痛いです!休み下さい!! 「仕事って楽じゃないのよ、だってお給料を頂くんだからね」と先輩メイドさんに説かれた。  そうですね……労働は大変だとわかりました。ここまで何不自由なく大きく育ててくれた父と母に感謝感激雨あられ……。  それから、朗報もあった。気持ち的に大スクープの気分。  母さんに今までの経緯を云々と説明したら目に見えるようにガッカリさせてしまったので、ベルボーイのお兄さんに飴を持って聞いて見たんだ。するとこちらのお屋敷は長男の理玖(りく)さんのご所望だとわかったのだ!  それを母さんに伝えたらみるみる萎れていた花が水をたっぷり与えたついでに肥料も弾むような美声で「長男のお屋敷に潜入!瀬那、よくやったわ!まるで宝さがしみたいねっ」なんて喜々として喜んでいた。  いあー、俺もドキドキしてるけどやっとかーと嬉しくなった。  さてさて、邸宅のご長男がお見えになるのは何時ごろになりましょうか?  かいちゃんが何か情報を得ていないかな~と思って聞いたら「知らないなぁ」と、いかにも知っているぞ。と言う風に俺に隠し立てした。  むむ、そうだよねー、花嫁ライバルだからソコはハッキリ教えないよねー、策略だもの。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!