プロローグ

4/5
前へ
/193ページ
次へ
 それから数週間後、待った甲斐があったようで凄いのが引っかかったらしい。  ところで俺は高校2年生で、まだ嫁とか結婚とか無縁の遊びたい年頃だ。それを言ったら『今と先の人生どちらを選ぶ気?』って今…と言ったら号泣された。  大げさだなと口にしたら『オメガは早く運命の番を見つけないと衰弱して死んでしまうのよ!…それはもう身も心もボロボロになって…そんなの可愛い息子にさせたいと思う親がいると思う?』  母さん、そんなに息子の俺を思ってくれてるんだ……感動したかも。  自分でもΩの事を調べて見た。  Ωには発情期が周期にわたってあるという。その間、身体も芯も疼いて自制も効かなくなる。αを求めてしまう大変エロい躰になっておしべとめしべが合体すれば多少は収まるらしいけど、それは一時的な気休めに過ぎなく、不特定多数のα及び稀にβと交わらなければならない。そうなるとΩにとっては生殖機能も躰も弱くなり生地獄になる――なので番が大変重要になる。  αを探しても、もちろんお互いの相性もあるしΩが決定権があるわけでもなく、番としてαに選ばれる定めなのだ。  なんだかΩの人生が辛くて悲しくなってきた。 「そんなに落ち込むことはないの!発情期を押さえる抑制剤もあるからαに襲われることも隠れることも無いのよ!大丈夫、あなたの未来は黄金に輝いているわ!!」  独り沈んでいたら母さんにタックルされて励ましの言葉を掛けてくれた。  母さんのようなポジティブってどこで売ってるんだろう。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1709人が本棚に入れています
本棚に追加