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「あら?男の子……?」
薄いグレーのストライプの入った白のサテンブラウス、黒のひらひらエプロンには家紋らしき刺繍が入っていて裏は大きなリボン、下半身も黒いタイツ……黒と白のひらひらカチューシャ?ゴシック的…なんて言うか『いらっしゃいませー、ご主人様♡』と言われそうな雰囲気……行ったことはないけれど。
「確かに家政婦紹介所から一人紹介をされてはいるけど……えっと、野村瀬那くんだったかしら?」
お手伝いさんのお姉さんが二の腕を曲げて首当たりに添えながら、ん~?と首を傾ける。そんなに考えなくてもそれは俺じゃないですよ、そう言わなければと思い声を掛けようとしたら、「まぁでも、ウチのメイド服が似合いそうね、合格にしましょう」と、疑いが一瞬に晴れてメイドに合格してしまった。
合格基準がメイド服が似合うなんてそんな~~
「いや、ち、違うんですよ!?」
母さんから預かった紹介状を手渡そうと背負って来たリュックに手を入れようとしたけど……無い?
そんなーー!!
「お、俺は園城家に嫁いで来たのであってメイドになるために来たんじゃないんです!」誤解は早く解かないと思って慌てた。
「またまた~そんな嘘はダメよ。ウチってこんなに広いでしょ?人手不足は何処も同じなので一人でも多く来てくれたらありがたいのよ、あなた可愛いからウチのメイドたちのアイドルになるわよ」
話し聞いて!!
――その後、家政婦紹介所から本物の家政婦さんがやってきたけど、俺と同じく一瞬にしてメイドに合格したらしい。
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