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俺はブラックなメイド服に意識が向いていたけど、自分に課せられる仕事のイメージは『家政夫』感覚に考えていた。
だって普通はそうじゃない?嫁に来たと言っても男の俺だもの。
なのにどう勘違いの勘違いをしたのか、今、用意されている家政夫の服がどう見ても“メイド服”なのだ。それもさっきから意識を強めていた黒のフリフリエプロンと膝上のスカート、ニーハイとかいう靴下…鼻血…いや、素敵なメイド服なのだ。別に着たいとは思ってない…これって眺めるものでしょ??
……ところでこのお屋敷では家政婦とか使用人呼びは当主の意向ではしないようで、メイドさんと呼んでいるらしい。けど問題はそんなことじゃない!
勘違いもとても気になるけど、今はぶらっーくメイド服が気になって心が優先してしまう。
「あの、俺はメイド服はちょっとぉ……ベルボーイみたいな制服ってないんでしょうか?」
男の人は詰襟のカチッとしたカッコイイ服を着用していた。
「メイド長が採用したのは『メイド』だと聞いているわ。だから早く着替えて。あ、そこのあなたも…んー175㎝以上あるのね……サイズ合うのあるかしら~」
ぱたぱたと忙しそうに俺たちの世話をしてくれているメイドさん。ちょっと年上だけど肩上の下さがりのおかっぱ髪で可愛い……。
俺の他にも新メイド見習いがもう一人いて、先ほど『え?もう一人来たの?』なんて騒いでたから本命がこの人だと思う。
採用されて良かった……責任を感じてたから。
しかし身長が高めの女性だ。ちょっと目線が上で見上げてしまう。
綺麗な人ではあるけれど、ニコニコとえくぼを見せた笑顔でお行儀よく椅子に座ってる。
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