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次の日、学校に行くと、俺と涼介はそれぞれの担任に職員室に呼び出され、それはもうこっぴどく叱られた。
「進路指導相談、また日をあらためてやるから、覚悟しておけ、だってさ」
長々とした説教からようやく解放され、ふたりで廊下を歩きながら、涼介がやれやれと溜息をついた。
「ははっ。まあ、仕方ないよな」
笑った俺を見て、涼介が「おや」という顔になる。
「なんか、陸、余裕じゃね?」
「うーん、吹っ切れたっていうか、なんて言うか……」
「良く分からんけど、いいんじゃね?吹っ切れたんなら」
涼介が、ぽんと俺の肩を叩く。
「それにしても、茜ちゃんって、明治時代の子だったのかぁ……」
信じられないよな、と言った涼介に、
「そうだな」
と相槌を打つ。
ハンバーガーを食べて目を丸くしていた茜。カラオケが上手だった茜。紅葉を見て喜んでいた茜。
あの夢のような時間は――。
「信じられないけど、本当だったんだよ」
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