あかね色の夢

17/17
前へ
/17ページ
次へ
 次の日、学校に行くと、俺と涼介はそれぞれの担任に職員室に呼び出され、それはもうこっぴどく叱られた。 「進路指導相談、また日をあらためてやるから、覚悟しておけ、だってさ」  長々とした説教からようやく解放され、ふたりで廊下を歩きながら、涼介がやれやれと溜息をついた。 「ははっ。まあ、仕方ないよな」  笑った俺を見て、涼介が「おや」という顔になる。 「なんか、陸、余裕じゃね?」 「うーん、吹っ切れたっていうか、なんて言うか……」 「良く分からんけど、いいんじゃね?吹っ切れたんなら」  涼介が、ぽんと俺の肩を叩く。 「それにしても、茜ちゃんって、明治時代の子だったのかぁ……」  信じられないよな、と言った涼介に、 「そうだな」 と相槌を打つ。  ハンバーガーを食べて目を丸くしていた茜。カラオケが上手だった茜。紅葉を見て喜んでいた茜。  あの夢のような時間は――。 「信じられないけど、本当だったんだよ」    
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加