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目の前で火花が散ったように、パチパチパチと光が瞬いて。途端痛いほど張り詰めた下腹部を、彼は愛おしげな溜息を漏らして撫で上げた。
「やっぱり俺の血は美味いのか……嗚呼、美味いんだろう? ほらフィン、答えてくれよ。なぁ」
彼のその声に頷く事も否定する事も出来ない。
ぐらぐら揺れる視界の中で、耳に入ってくるのは耳を塞ぎたくなる様な嬌声。頭の悪い娼婦のようだ。
頭と身体がバラバラになって、だらしなくイきまくる自分に悲鳴を上げる。
……やめろ、もう止めてくれ。おかしくなってしまう!
「ぁ、んぁっ……ひぃ、あっ、あああっ、ら、めて、やぁッ、ぁ、ぅんッ、お、おかひく、なっちゃ……ああぁぁ……」
こんなのオレじゃあない! 違う、こんな女みたいな声で啼くなんて……。
身体に火がついたように熱い。出口の無い熱が苛むし、何度達しても満たされない乾きにのたうち回る。飢餓感と焦燥感で正気を失いそうだ。
いや、もう失っているのかもしれない。オレはもう……。
「フィン? 今俺のこと、考えて、ないな」
「!? ひぎぃッ……ぁ、そ、そこ……ち、が……入ら、な、ぃい!?……」
一番奥、そこから更に力づくで侵入しようと腰を推し進める彼に、戒めと意識の朦朧で覚束ぬ手足を必死で動かしで抵抗する。
「大丈夫、全部満たしてやるよ、人間の女共には出来ないだろ……」
足を上に引き上げられ彼の肩に乗せられる。
これでこの忌々しい男を蹴りあげる事もできないし、より深く突き上げられる事に本能で気が付く。
「ひっ、いやだっ……は、ぁ、離せっ、ぬ、抜い、てぇ……あああああッ!」
しかし信じられない事に、痛みはさほど感じなかった。
痛みの代わりに断続的に訪れる苦しい程の快感。すざましい程のそれで己の腸壁が痙攣し、さらに身悶えのたうつほどの昂りに責め立てられる。
連続で追い詰められ降りてこられない絶頂の波に、オレは声無き声で慟哭して懇願し続けた。
―――いっそう殺してくれ、と。
地獄のような夜は、まだ明けそうにない。
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