真説!「狼の側」から見た「赤ずきんちゃん」(再改訂版)

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真説!「狼の側」から見た「赤ずきんちゃん」(再改訂版) Ⅰ 昔々 ある国の大きな森の中に、人の背丈以上もある大きな灰色狼(ティンバーウルフ)がおりました。彼は、この三日間、何も食べていませんでした。それもそのはず、この国の王が宣言した、国土 開発計画(はかいこうさく)のために、森(しれとこ)が次々と伐採され、つぎつぎにキツネやクマゲラの生存範囲が狭められ、その数が減っているのに加えて、獲物(コロシ)に飢えたハンターどもが、自然の法則を無視して、狼の食糧(しょうどうぶつ)を獲り尽くしてしまったからです。兎も鹿も、もはや数えるほどしかいなくなってしまいました。博愛主義者(やさしさのかたまり)として、肉食動物界ではあまりに有名で、しかも賢明な狼は、この上自分が狩りをすると、兎も鹿も絶滅しかねないことが判っていたので、ワラビやドングリで飢えをしのいでいたのです。
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