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⁑ うそつき ⁑
昼休みも終わり、また授業が始まる。
放課後のクラブ練習。
サッカー部の優也を眼で追う。
私は陸上の高跳び。
「コラ、次はお前の番だぞ」
コーチに怒鳴られ、ポジションに着く。
「あ・・」
ガッシャ―ンと竿が飛べきれずに足にかかり、絡んで落ちた。
「どうしたんだ?こんな高さ、軽く行くだろ?」
クッションのマットがあるから良い物の、落ち場所がずれたら大怪我だ。
いつもステップ位置を間違えるなと言われてるのに。
「反省。グランド3周!」
「はい」と言って、グランドを回る。
何してんだろ、私。
友美、優也・・助けて。
その時カメラ機材を抱えて、校舎を出る数人を見た。
写真部だ。
時にはカメラを回して、自主映画も撮る。
聞く話だと部員が足りないとかで、映画の主役をいつも探している。
部長のお眼鏡にかなう人が、居ないんだって。
その部長に、ついて行く人達がぼやく。
「何故コロコロ脚本を変えるんすっか?その度に撮り直しですよ」
「うるさい、インスピレーションだよ。文句あるか」
「フイルムがもったいない!」
夕日が綺麗だった。
綺麗すぎて、胸が痛むんだ。
優也の…アイツのせいじゃない。
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