見習い死神と不運な俺

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「すぐ近くのN高校二年三組。好きな食べ物は焼き鳥。嫌いな食べ物はゴーヤ」  そこまで言って、どうと見つめてくる。先ほどの死神という言葉を信じたかという意味らしい。 「と、ともかく、その辺で話そうか」 「うん。あと、それ、頂戴」 「ど、どうぞ」  こうして俺は死神と名乗る少女にタピオカミルクティーを奢ることとなり、謎の状況へと巻き込まれるのだった。 「ええっと、君は死神見習いで、今日初めて死者となる人を迎えに行くはずだった。それなのに、そいつを見失ったと」 「は、はい」  ずずっとタピオカミルクティーを飲み、もちもちとタピオカを堪能する少女、名を牡丹というらしい。そして、初仕事で見事にトラブっているのだとか。 「死神って本当にいるんだ」 「ええ、はい。便宜上死神と言ってますが、要するに死者を黄泉の国に導く存在です。今の世の中、黄泉って言葉も通じないことがあるし、その他諸々、仏教用語では説明しても納得してくれない人が増えたので、死神と名称を統一することが決まったんです」 「へえ」
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