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本当にこの少女を死神と認めるべきなのか。しかし、教えていない個人情報をべらべらと指摘し、さらには本当に周囲の人には見えないようなので、信じるしかないか。先ほど、派出所の前をそれとなく通ってこの少女迷子ですよと言ってみたが、どこに少女がいるんだと追い返されたばかりだ。
「それで、見失ったのって」
「そ、そうでした。あなたと同じN高校の人です」
「え?」
「制服を頼りに探し直そうとしたら、その」
そう言って牡丹は手に持っているタピオカミルクティーを見つめた。これに気を取られてしまったということらしい。
「それ、飲んでみたかったんだ」
「はい。現世の食べ物って魅力的な物ばかりなんですよねえ。これ、こんなにもちもちしてるなんて、ハマりそう」
「そ、そう」
牡丹はうっとりとタピオカを噛みしめ、これでは仕事にならないわけだなと雅也は納得。
「で、N高校の誰だよ?といっても、俺の知っている奴とは限らないけど」
「いえ、あなたの知っている人です。あなたのことは、霊力が強くて注意するようにと指導されていたので知っているんです。それなのに、こうしてあなたを頼る羽目になるなんて」
「おい、待て。それって俺に霊感があるってことか?」
「そうですよ」
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