第六章 僕は知らない 六

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 どうも、相手の様子がおかしい。俺は、チビ1を経由して、ナースコールを操作してみた。しかし、誰もやって来ない。  相手は小野塚を殴ると、首に手を掛けていた。 『俺も怖かっただけだよ……仕方なかった……俺も可哀想だろ?なあ……』  ナースセンターの映像を確認すると、看護士は椅子に座ったまま眠っていた。テーブルにはコーヒーが置かれていて、もう一人の看護士も爆睡していた。  俺は警報を鳴らして、警備員に知らせてみたが、警備員も眠っていた。 「渉なのか……」  小野塚の証言があっては、この騒動が真実だと思われてしまう。だから、恋人の逆上、別れ話のもつれとして始末してしまいたいのだ。 「まあ、でも、想定内だ」
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