第二章 深夜バス 二

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「本村、地下の映写室を借りる」 「だから……借りるってね、ここ、夏目の家でもあるのだけどね……」  本村が購入した家なので、俺の家ではないだろう。俺も自分の家を持ちたいが、まだ不動産を購入できる姿ではない。  俺は廊下を奥まで進み、本村が用意した俺用の部屋に入った。  部屋には、荷物などなく家具もない。だが、その部屋の押入の扉を開けると、地下への階段がある。階段を降りると、階下にも俺の部屋が続いている。  俺は地下階で部屋を出ると、一階と地下に一つずつあるリビングに入った。  地下のリビングは、映写機が置かれ、壁が画面にもなっている。俺は、その巨大な画面に、深夜バスの動画を映した。 「千手、どうして、こんなに派手にルールを破っているのに、許している?」  千手は俺の幼馴染で、地下社会の五大勢力の一つに数えられていた。千手は、ルールに厳格で、黙っているとは思えない。
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