第六章 僕は知らない 六

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「夏目ちゃん、小野塚さんの病室に不審な人物が入りました」 「え?」  俺がチビ1の画像を確認すると、医者でも看護士でもない人物が、小野塚の病室に入っていった。しかし、部屋の中を見ると、争っている雰囲気はない。 『ごめん、借金で脅されて、仕方なくやってしまった……遊里、愛している。もう裏切らないから、別れないで……』  どうも、やってきたのは小野塚の結婚相手らしい。  しかし、小野塚を知らない親父の相手にさせておいて、謝って済むと思っているあたりが、かなりおかしい。 『さよなら、もう顔も見たくない』  小野塚がきっぱり別れを告げると、男は目を見開いて、小野塚に近寄っていた。 『別れないよ……だって、連れてゆかないと、俺が殺されていたんだよ……仕方が無かったでしょう?』
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