第六章 僕は知らない 六

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 何のための警察だと思っているのだ。こういう時に、役に立つのが警察だ。俺が待機していた刑事に連絡すると、部屋に乗り込んでくれた。 「殺人未遂か……」  小野塚は刑事に助けられ、抱き着いて泣いていた。刑事は、小野塚を女性だと思ったようで、抱き締めて励まし、頭を撫ぜていた。  俺は小野塚の無事を確認すると、再び、倒れて眠ってしまった。  翌朝、目覚めると、横に内薗が眠っていた。 「げ?何故、内薗?」 「早朝に来て、数式を見て貰いたいと言って、そこで眠った」  内薗はかなり疲れているようなので、このまま眠らせておこう。俺は朝食のサンドイッチを貰うと、内薗の横に置いて部屋を出た。 「夏目さん、どこに行くのですか?」 「もう少し、渉を追い詰めないと、俺の安眠が邪魔される!」
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