第四章 深夜バス 四

1/20
276人が本棚に入れています
本棚に追加
/432ページ

第四章 深夜バス 四

 翌日、本村に公安まで送って貰うと、第九公安部に入った。 「夏目室長、モリスは潜入捜査員の殺害依頼を受けていました。殺された女性三人は、潜入捜査員です」  この殺された三人はチームで、政治家と企業との癒着、裏金の存在などを追っていた。その裏金は、海外へと投資され、その投資先にはテロ組織もあった。 「テロ……なのか」  テロ組織を支援しているのではなく、テロがある事で、強化される軍事設備に投資しているのだ。依頼主は、その仕組みを知られてしまい、殺しを依頼した。 「女性の殺人は、海外組がした事なので、地下社会には関係がない。すると、この技術者は何なのだろう……」  桂川がモリスの金の流れを報告してくれたので、モリスという存在も少しずつ分かってきた。  モリスはフリーで組織には属さず、様々な仕事を受けていた。どうしてフリーで出来るのかといえば、モリスの家族は裏稼業の者しかおらず、そういう面では家族という組織には属していたからだ。
/432ページ

最初のコメントを投稿しよう!