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秋の夜空を彩る、大輪の花火。
夏目 秀一(なつめ しゅういち)は、頬に一すじ涙が流れる気配を感じた。
なぜだろう。
美しさに感動したわけでもないし、悲しいわけでもない。
ただ、涙が流れた。
こんなところに、来るつもりじゃなかった。
鬱病で会社を休職し、自宅に閉じこもる日々。
外へ出るのは、コンビニへ夕食の弁当を買いに行く時だけ。
花火なんて、観に来るつもりじゃなかった。
ただ、その音になぜか惹かれて、ふらりと広場へ出て行った。
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