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「ホントに大丈夫? もう、会社辞めちゃえば?」
「そういうわけには。じゃ、行ってきます」
慶が秀一の元で暮らし始めて、5日経っていた。
今日は、秀一の復職の日だ。
完治したわけじゃないけど、係長はやっぱり怖いけど。
「僕が稼いで、慶さんを養うんだ!」
大股で歩きながら、秀一はそう呟いた。
無一文の慶は、アルバイト先が見つかるまで秀一宅に厄介になることとなった。
父の遺産で預金口座は潤っている秀一だったが、慶に元気な自分を見せたかった。
あなたのおかげで、こんなに明るくなりました、と言いたかったのだ。
慶のためと思えば、満員電車も耐えられる。
そう、頑張るんだ。
慶さんのために!
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