道で拾ったお兄さんが人外者だった事の顛末について【差分】

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 復職して5日目、秀一はすでに息切れしていた。 「何かあった!?」  そう、慶に問われるほど青い顔をして帰宅した。 「係長が、今度一緒に飲みに行こう、って」  酔って絡む係長は、普段の100倍はたちが悪い。  その話は、慶も秀一から聞いていた。 「断りなよ」 「……無理ですよ」  一度断ったら最後、今度はどんな嫌がらせを受けるか解らない。 「ヤバくなったら、慶さんのこと思い出して踏ん張りますよ」  薄く笑う秀一の顔が、慶には痛ましかった。 「飲みに行く日は、いつ?」 「水曜日です」  間に合うな、と慶は考えた。  こうなったら、最後の手段だ。  以前から思っていた、だがもう一歩が踏み出せなかった方法がある。  決行は、今夜だ。  慶は腹をくくって、夜が更けるのを待った。
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