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「どうしたんですか、改まって」
ベッドの上で正座をしている慶に、秀一は驚いた。
大事な話があってね、という慶の眼は真剣そのものだ。
まさか。
「まさか、ここを出て行く、って言うんじゃ」
「いや、まさか。そうじゃないよ」
今、秀一から離れると、きっと壊れる。
慶は、そんな危うさを彼から感じ取っていた。
「実は、秀一くん。君に俺の、俺たちの仲間になって欲しいんだ」
秀一は、目を瞬かせた。
「それは、自転車で日本一周、とか?」
いや、まさか。そうじゃないよ、と慶は先ほどの言葉を繰り返した。
「実は俺は、吸血の人外者なんだ」
秀一は言葉を失くして、慶の話に聞き入った。
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