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「これで、準備は整った。君は、適格者になったんだよ、秀一くん」
そうだった。
これは、僕が慶さんの仲間に、吸血の人外者になるための儀式の一環だったんだ。
(でも、気持ち悦かった……)
甘い気分のまま、秀一は慶に向き直った。
「まだ、何かあるんですか?」
「いよいよこれからが、本番。生理的に無理だったら、言ってね」
一体、何を。
彼の顔が、どんどん近づいてくる。
また、キスかな。
秀一は、軽く瞼を閉じた。
しかし慶の顔は、唇ではなく首に伸びてくる。
「力を抜いて」
そして秀一の首筋に、慶の歯が触れた。
ああ、慶さんは僕の血を、これから吸うんだ。
しかし、心は落ち着いていた。
慶を、信頼しきっていた。
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