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怪我をして、自分の血を舐めたことはあるが、慶の血液はあれとは全く違う味がした。
ほのかに酸っぱく、とろけるように甘い。
さらりとした舌触り、芳しい風味。
「美味しい?」
優しい、慶の声。
秀一は、口を離した。
「とっても」
よかった、と慶は表情を崩した。
実は、と慶は頭をかいた。
「初めて会った時から、欲しかったんだよ。君が。仲間に、入れたかった」
でも、僕を受け入れてくれるかどうか、適格者になってくれるかどうか、自信がなかった、と慶は言う。
「適格者にならなければ、どうなるんですか?」
「俺の血に、拒否反応を起こしてしまう。体がついて来られずに、死に至る例もあるんだ」
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