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慶の言葉には少々寒気が走ったが、彼のことだ。
決して僕が死んだりしないという確信があって、血の儀式を行ったに違いない。
「これで僕は、吸血鬼、ですか」
「そう。好きなように自称していいよ。ヴァンパイア、とか」
茶化したような慶の声に、緊張が解ける。
そして、同じような口調で、慶はさらりと言ってのけた。
「飲み会で係長を泥酔させて、思いっきり吸血してやりなよ。しばらくは、立てなくなるくらい。何なら、致死量飲んでも構わないさ」
俺の秀一くんに酷いことする人間は、相応の罰を受けるべきだ、と。
「『俺の』秀一くん……?」
「あ……」
途端に赤くなる慶が、可愛かった。
無性に、愛おしかった。
「『僕の』慶さん、って思ってもいいですか?」
「え!? あ、うん! うんうん!」
二人、抱き合って首筋に歯を立てた。
互いの血を交換しながら、深い愛情を確かめ合った。
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