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驚いて振り向くと、自転車と共に倒れた男性がいる。
「大丈夫ですか?」
秀一は、身に着いた親切心から男に駆け寄った。
「ああ、ありがとう。平気平気」
男は、秀一より年上のようだった。
しかし、まだ若い。
30代になるかならないか、と思われた。
それより秀一の眼を引いたのは、その格好だった。
よろよろで、埃まみれのシャツ。
背負った、大きなリュック。
裾がほつれ、破れたジーンズ。
街灯の下、その顔が精悍な顔つきでなかったら、さっさと取り残していただろう。
しかし秀一がとどまったのは、何も顔のせいだけではなかった。
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