道で拾ったお兄さんが人外者だった事の顛末について【差分】

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「さっき、泣いてたでしょ。花火見て」 「……」  なぜ、それを!? 「俺も泣いちゃったんだよね」  あぁ、と秀一は心の中で肩を落とした。  この後は、花火の美しさに感動して、などと続くに違いない。  普通の人は皆、そうなのだから。 「俺も泣いちゃったんだよね。腹減って」 「え?」 「花火はこんなに綺麗なのに、俺の腹を満たしてはくれないんだ、と思うと悔しくってね」  秀一は、わずかに口角を上げた。  久々の、笑顔だった。 「お腹、すいてるんですか」 「もう一か月近く、ろくに食ってないんだ」 「家に来ますか? カップ麺くらいならあります」 「いいの!?」
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