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「どうぞ。散らかってますけど」
「一戸建て。お金持ちなんだなぁ」
いえ、と秀一は否定した。
「母の家なんです。会社へは、自宅通勤で」
「そうなの」
その母も、男の所へ入りびたりで滅多に返ってこない。
だから、気兼ねなく何日でもいてください、と秀一は勧めた。
「ありがとう。秀一くんは、優しいね」
優しい、だなんて。
小学生以来の誉め言葉に、秀一は照れた。
「とにかく、食べましょう」
一か月も粗食に耐えて来た男にコンビニ弁当を譲り、秀一はカップ麺をすすった。
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