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5年前の誕生日。
あの日、最初で最後になった愛してるの言葉。後にも先にもあの日だけの特別な告白。
アイツが気持ちも魂も、持ってるもん全部まるっとかけて俺に届けてくれた大切な記憶。
今日29になる俺の横には、会社の仲間らが方言丸出しで俺の部屋でくつろいでいる。
朝晩寒くなってきやがったおかげで、寝具の取り合いは壮絶。
夏場なんぞフローリングでそのまま転がってやがる連中なのに。寒さに弱いらしいその生態がガツガツした日常と相まって、なにやら面白い。
「店長ー、毛布ないんすか。足がめっちゃ冷える」
「俺も」
「私も毛布くださーい。てゆーか添い寝してくださーい。てゆーか結婚してくださーい」
岩の上でオットセイが日向ぼっこでもしているように伸びきった3人。いつものように放っておいても勝手に寝床を作って勝手に寝るだろう。
「冬用品はあっちのクローゼット。勝手に使え、が、きちんと片付けろな」
飲みすぎだな。俺も含め全員が眠そうなツラして、それでも飲まねぇと何かが勿体ないといわんばかりに、置けばいいグラスをいつまでたっても傾けている。
「つか、ねむい。俺、寝る。戸締りよろしく。じゃ」
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