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ここにいる全員の声が一致した。
それくらい、彼の発言にはこの場にいたみんなが驚愕したんだ。
「彩香さん。どうか僕と二か月間、一緒に過ごして下さい。絶対に後悔はさせませんから」
「は……はいぃ?!」
「ちょっと待て、待て! こいつは新人研修を終えたばかりだぞ?! 役に立つわけがない! アンタとは俺が組む!」
私の手を握っていた須藤さんの手を強引に引き離したのは、隣でやり取りをずっと見ていた環先輩だ。
必死の形相の環先輩に、須藤さんは余裕な表情で微笑み返していた。
「とても光栄な申し出ですが、遠慮させていただきますね。僕は彩香さんと一緒に働きたい」
「なにが“働きたい”だ。ここは仕事をするところだ。御曹司の我儘に付き合っている暇は俺達にはないんだよ。アンタとは営業の経験が長い俺が組む。それでいいな」
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