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どう反論しようか算段しているようにも見え、まだこのやり取りは続くのかとハラハラしていたら、須藤さんが環先輩から私の方に視線を移した。
「それに、男ばかりの営業部でサポート業務ではなく営業を担当しているということは、彩香さんも優秀な人材なのでしょう。僕としては我が社に貢献してくれる優秀な社員と共にぜひ一緒に働きたい」
その真っ直ぐな瞳と心地よい声で諭されては、私の熱もグングンと無条件に上昇してしまう。
知らぬ間に頬は熱くなり、今の私の顔色は鏡で見たらきっと赤くなっていることだろう。
「と、いうことでいかがでしょう? 僕と組んでくれませんか?」
改めて手を差し出されて首を傾けられ、申し出をされた私。
環先輩の様子をうかがったけれど、苦い顔をしたまま何も言わなくなってしまった。
ここまで言ってしまわれては、首を横に振ることもできない雰囲気になっている。
私は深呼吸すると、その手に自分の右手をそっと載せた。
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