●期間限定のパートナー●

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『アルカンジュ』の社長の息子である御曹司、須藤 伊吹さんが営業部に配属になってから、二週間が経とうとしていた。 最初は、御曹司が営業職、しかも女性とパートナーと組む、それはどんな女だ? 将来の花嫁候補か? と噂が広まり、須藤さんと組むことになった私を見る視線はそれは痛かった。 特に女子社員からの視線は突き刺さるくらいだ。 きっと陰口や嫉妬でありもしないことを言われているんだろうなと、簡単に想像がつく。 その視線を私と一緒に受けている優菜が、ランチタイムの時、社内にある中庭でお弁当を広げながら面倒そうに呟いた。 「どうせみんな羨ましいんでしょ。うまくいけば、超玉の輿だもんね」 「ちょっと優菜、やめてよ。私、そんなつもりないから」 お互い、お弁当を持参して来ている私達はこうして天気のいい日は中庭でお喋りをしながらお弁当を食べる。 それもこれも、急にやってきた須藤さん絡みのことで、ここ最近はそんな明るい雰囲気になることもなく、いつも気分は落ち込みがちだ。
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