●御曹司とティータイム●

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「どうしたんですか? 彩香さん」 「い、いえ、なぜか謝らなければ……と思いまして」 「あぁ、もしかして、今まで僕をなんの知識もない金持ちのお坊ちゃまとバカにしてましたか?」 「そ、そ、それはありません! 須藤さんが経営学を学んでこられたことは知ってましたし、バカになんてしたことはありません! ただ、『アルカンジュ』のあのアイライナーを開発したのを須藤さんと私は知らなくて、自分の無知が今ものすごく恥ずかしいです……!」 私が長々と謝罪を言うと、須藤さんはおかしそうに笑ってハンドルを叩く音が聞こえてくる。 そして少し力を入れて、私の両頬を彼の大きな手が包み、上を向かせられる。 「そんなこと、これから知ってもらったらいいのですから、謝らなくていいんですよ」 「でも、ショップの人達が知っていて、『アルカンジュ』の社員の私が知らなかったなんて……本当に恥ずかしいです!」 「あぁ、あれは彼女達に感謝ですね。彩香さんにちょっと自慢できるところを見せることが出来ましたし」
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