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首を傾けながら、須藤さんは私から視線を真っ直ぐ離さない。
私は彼の手によって挙げられた顔の表情を維持するだけで精一杯だ。
「うん……やっぱり……」
そしてしばらく私を見つめたあと、須藤さんは感慨深く呟いた。
私はその声を耳にして、目を丸くする。
「何ですか?」
疑問を言葉に出したけれど、それに須藤さんは応えない。
それどころか、笑顔で誤魔化された。
「あぁ、そうだ。彩香さん、週末、楽しみですね」
「えっと……な、何のことでしょう……」
「さっき言いましたよね、週末、デートしましょうねって」
やはりそのことかと、胸の中がざわざわとときめきで忙しい。
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