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身体も心も忙しない平日が終わり、やってきた土曜日。
とうとう須藤さんと数時間だけのデートをする日を迎えてしまった。
この件は親友の優菜にだけは報告済みで、たった一言「玉の輿に乗って来い!」と背中を叩いて送り出されてしまった。
「須藤さんとお出かけだなんて……何を着ていいのかわかんないよ……」
どこに行くのか聞かされていない私は、当日になっても服装に悩んでいた。
須藤さんからは待ち合わせの時間と場所を聞いただけ。
お昼の十二時に私のマンションの最寄り駅の駅前のロータリーで……とだけだ。
「さすがに平日のようなスーツは駄目だよね。もう無難にワンピースでいいか……」
御曹司とデートとなると、どんな格式高いところに連れて行かれるかわからないから、スーツのような服装にしようと思ったけれど、それじゃあいくらなんでもTPOがわかっていない女に思われてしまう。
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