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私はスマホの通話を切ると鞄に戻し、休日に会う彼はどんな感じなんだろう……なんて、そんなことを考えながらヒールの音を鳴らせて車まで駆け足で向かった。
須藤さんは運転席から出てきて、走る私の方を見て嬉しそうに微笑んでいる。
晴天の空の下だと、彼の笑顔はいつもよりもずっと輝いて見えた。
「す、すみません……車で来てもらって……」
「とんでもない。こっちから誘ったんだから当然のことだよ。それよりも走らせてごめんね。大丈夫?」
須藤さんのもとまで行くと、息を切らした私の額をそっと手の甲でなぞる。
汗を掻いたその額を、彼は優しくポケットから出したハンカチで拭ってくれた。
「す、すすすす、すみません……!!」
「いや、女性を走らせちゃダメだよね。ごめん、僕の気遣い不足だ。もっとわかりやすい場所で待ち合わせればよかったよね」
「い、いえ……」
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