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私の手を優しく取り歩き出した須藤さんの顔を見上げて、疑問を口に出す。
すると、切なげな表情になった須藤さんは、ちょっと言い淀んでから答えをくれた。
「うん……まぁ、企画を進めていたのは海外にいた時からなんだ。向こうで仲良くなったパートナーと一緒に、僕達の理想を詰め込んだサロンがあったらいいよねって話をよくしていてね。それなら、夢を語るだけじゃなくって、現実にしようってお互い若いながらも細々と進めてきたんだよ」
「すごい……アクティブな方がパートナーだったんですね!」
「まぁね」
話の内容は、若いからこそ夢が膨らむ希望に満ちた話をしているはずなのに、須藤さんの表情は冴えない。
彼のそんなところが気にはなったけれど、私は夢を実現させる須藤さんとそのパートナーの方に、すっかり尊敬の念を抱いていた。
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