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「須藤さんはローマンカモミールはあまりお好きじゃないんですか?」
須藤さんはキーケースをジャケットのポケットに戻し、壁にあるスイッチを押すと、ガラス張りで出来ている壁のロールカーテンが上がっていく。
すごい……こんな機能があるんだと、かなり感動した。
ロールカーテンが上がっていくと、ガラス張りの壁から外の日差しがサロン内に入り込んできて、須藤さんの横顔を照らしていく。
須藤さんは少し考えたあと、私の方を向き、口を開いた。
「昔は大好きだったんだけどね……最近はあまり何も感じなくなってきたかな」
「香りに飽きちゃったってことですか?」
「んー、どうだろう。そこは難しいところだね」
不思議な回答をする須藤さんの言葉に、私は首を傾ける。
そんな私を見て彼は笑うと、すぐそばにやってきて私の前髪あたりを優しく撫でる。
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