4 レモン

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 舞も今までの女の子と同じだ、という認識を改めたのは、舞が突然静香に謝って来た時だ。 「静香は友達でいてくれたのに、わたしは一歩引いてた。それがどんなに傷つけることか気が付いていなかった。自分の事しか考えていなかったから」  目を潤ませながら、真剣な顔でそう言う舞に、静香は慄いた。  舞は静香の友情を信じ、それを信じ切れなかった自分を責めている。  そう仕向けたのは、わたしなのに。  友情にかこつけて、邪まな気持ちを植え付けようとしていたのはわたしだ。  舞が壁を作っていたのは、分かっていた。  その舞の劣等感のようなものが、可愛いと思っていたし、壁を感じてもそれを壊そうとせず、楽しんでいたのは自分だ。  その壁がついに壊れ、舞がこちらに身を委ねて来た時のことを想像して、手ぐすねを引いていたのは自分だ。  傷つけるかもしれなかったのは、わたしだ。  しかも…… 「貴宏に言われたの。静香は舞の事を好いてくれているのに、友達じゃないと言われたら、静香が可哀そうだって」  舞はそう言って、落ち込んでいた。 「貴宏が言ってくれたの」  そう言って、貴宏を想っていた。  気が付いたら、舞を慰めていた。 「好きな人に言われたら、些細な事でもショックだもの」  そう言うと、舞は驚き、赤くなって俯いていくのを、静香は横目で見送った。  あの顔は、わたしが欲しかったものなのに。
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