グルメ大戦

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 なぜか。その理由。  豚の一族は、平均的にその戦闘能力が高い。それには秘密がある。  彼らの戦闘力を底上げしている要素。それは、(アブラ)だ。  豚の一族は、生まれながらに一族全員が勝利の気質を持った脂をまとっているのだ。  牛の一族は、豚の一族の脂に対し「邪道だ!!」と、よく罵る。しかし、牛の一族の上位クラスは、その邪道である脂をまとっている。彼らは、その脂を格調高く、霜降りと呼ぶ。  牛の一族は、完全な階級社会であり、彼らには厳密な格付けが存在する。その最上位クラスは、見た目的な美も追求し、比類なき強さを誇るのだが、その戦力の規模は、豚の全勢力に比べると微々たるものである。 「なんだ。牛の。別に俺たちは、お前らと真っ向競おうと思っているわけではない。そもそも、その美意識とやら、味覚闘の世界には不要だ。一族全体の平均的ポテンシャルが我々の実力を現しているということを、お前らは理解していない」  そう、豚の代表が言うように、一般的な牛の一族が、多少の技量を磨いたところで、平均的な戦闘能力を持つ豚の一族に勝つことはできない。  つまり、牛の一族は家柄が全てなのだ。無名の家柄を出身とした牛の一族は、実際目も当てられない。いわゆる貧乏貴族かそれ以下だ。 「ふん! 身分の違いというものを理解していないのは、そちらではないのか? なあ、豚の?」
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