グルメ大戦

1/6
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 とある世界。世は数千という種族が凌ぎを削る列強の世界。  この世界では、数値にすることの難しい味覚という尺度が、勝敗を決める。  味覚闘の世界。  彼らは、この勝敗を決める舞台を敬意を込めて業界と呼ぶ。  その舞台の中で、頻繁にあいまみえる二つの種族を紹介しよう。  その二つの種族とは、牛の一族と豚の一族である。  この二つの種族は、常に優劣を争っている。  どちらが強者なのか……。  一族を代表する強者が今ここに相対している。 「豚の。そもそも、お前たちが我々と優劣を競おうというのが間違いなんじゃないのか?」  上級貴族の間では、牛の一族が重用されることが多い。いわば安泰の地位を築いていると言えなくもない。  しかし、それほど牛の一族が絶対強者なのだろうか。何か違う気がする。そこが、味覚という尺度の面白い所だ。どちらの一族も常に最高のポテンシャルを引き出して、勝負に挑んでくるわけではない。  特に牛の一族がそうだ。彼らの上位クラスの実力は相当高いことは認めてもいいだろう。しかし、実際どうなのか? つまり、平均するとどうなのか。特殊な上位クラスの強さをもって、全てを制することが出来るのか。  否!   総力戦で両一族が激突した場合、豚の一族が勝利するのではないだろうか。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!