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第3話 マグロの漬け丼
マグロの漬け丼
《一人相撲で細々と刻んでます…
今回は神奈川県三崎
マグロの漬け丼
ビンチョウ鮪の漬け丼》
ご当地美味いものBL
相模湾の穏やかな海面に映る日の出はもう6時も半過ぎだ。
目の前のフロントウインドウの片隅に貼り付けられたシールは自然薯。
ダッシュボードの上には、
乾ききって更に小粒になったムカゴが2、3個転がってる。
煙を上げるタイヤの運転席
軽のワンボックス。
朝の県道。
汚れたダウンに着膨れた、
おとこふたり。
隣同士の膝が触れそうなチンケなタイヤの振動も、
こんな時間も俺には大切なんだ。
ラジオから流れてくる話題は
B級の食いもんの話ばかり、
変えるのも面倒だからそのまま流してる。
三崎に来たら必ず寄る寿司処『わらび』の前は朝から訪れる魚河岸の仕入れのトラックがもう溜まってる。
こいつもこっちで働き出してもう4年。北国生まれのお前が地元の魚より旨いもん食べたことないって言うから、
新鮮なマグロ奢ってやろうと思ってたのに。
初めてだと思っていたのに……
ちゃっかりお前はもう大将に
"マグロの漬け丼"
ゴチになってるのか!
一体、だれと、いつ食ったんだよ……
悶々とそれでも、
旬を迎えたビンナガの口いっぱいに広がるコクました脂と、
絶妙の漬けの味わいに、
丼の箸の止められない俺。
「 ふー、食った食った!
美味かった〜 」
暖簾の外に出れば
強い潮の香りが、
満腹になって火照った身体を通り過ぎる。
「 ゴチッ 」
て上機嫌なお前に幾分機嫌が盛り返した俺に、
「 あの鮪の上に 、
あんたが掘った自然薯かけたら、
タマンねぇだろうな……
って、
俺、
初めて食った時も思った 」
と言ったお前の横顔が微妙に赤らんだのは、
ダウンを脱ぎ少し汗ばんだシャツを張り付かせたあいつの背中に、
引き締まったその肢体に、
ヤケに絡まるおとこたちの視線に、
妬いた
俺のせいか?
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こちらにもミニコメが………………😹嬉しいっす!
お店の名前の振り仮名は“ゆう”であってほしいよ…
→ 離婚の原因も……そうであって欲しいような欲しくないような。難しい両片想い。
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