コンビニごはん

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コンビニごはん

 今日は、肉まんとキャラメルプリンとジャスミンティー。  昨日は、揚げたてからあげとトルティーヤとオレンジジュース。  その前は、ポテトチップスとあんぱんとダイエットコーラ。  そいつが買っていったメニュー、全部言える。なぜなら、やつは毎日同じ時間に来るし、俺は同じ時間にレジにいる。  もっと、まともなもん食えよ。毎日の夕飯がコンビニとか、どうなんだよ。成長期だろ。余計なお節介なのはわかってるけど。しがないアルバイトの店員に言われたくはないだろうけど。  そいつは、いつも同じ青いカバンを背負っている。黒縁の眼鏡をかけた、短い髪の痩せた女子。おそらく、塾帰りの小学生。  雨の日も雪の日も変わらずに、同じ時間にうちの店にあらわれて、その日の夕飯を物色していく。スナック菓子やジャンクフードが多いが、おにぎりやパンの日もある。あの子はきっと一人で食べている。  ろくに夕飯も食べられない、子どもの貧困が叫ばれている現代日本で、毎日、お金を払って好きなものを選んでいるあの子は、金銭的には恵まれているのだろう。でも、毎日毎日あんなものを、きっと一人で食べている。なにも一汁三菜とは言わないが、栄養バランスはひどい。  あいつの親は、なにを考えているのだろう。なにも愛情たっぷりの手作り料理とは言わないが、それにしても子ども相手に無関心すぎやしないか。  俺はただのアルバイト。ただの店員。  客の個人的な事情に口を挟むなんて、おこがましい。客がなにを買おうが、なにを食べようが、客の自由だ。まして、人様の家庭の事情になんて口出しできやしない。  そう思っていた。
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