lesson2 彼女が泣いたら

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「…そうか、分かった!」 その瞬間。 土居さんは、いきなり私の腕を掴んだ。 「うわっ!」 体制を崩してよろめいた私を、不器用に胸に引き寄せた。 そうして、力任せに私の後頭を掴むと、そのまま胸に圧し当てたのだ。 「ぶっ」 「だ、大丈夫だ!……これでいいのか?」 「…悪くは…ないです」 「ん。…大丈夫だ、もう大丈夫だから…」 自分の台詞に照れながら、彼は無造作にワタシの髪をワシワシと撫でてくれた。   お蔭でセットはひどく乱れてしまったが… その不器用さが却って心地良い、だなんて、1年前の自分なら絶対に思わないことを考えた。 互いに『好き』の気持ちなんか無いはずなのに、彼の腕の中はことのほか暖かくって_____ 「う、うぇっ…ふ、わあああっ」 不覚にも私は、その胸にしっかり縋って、昼休憩中泣いてしまった。  (ったく、素直じゃねえの…) 呟いたヒナに トサカの片鱗が見えた。
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