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「ああ、それはね。
…こうです」
私は上向きに顔を上げ、目を閉じて唇を突きだす“キス待ち顔”を実践した。
「…とこういう具合に…ん?」
すると、ぱっちり目を見開いた私に、彼の顔がイキナリ近い。
「…ってキサマ、何やっとるかぁ!!!」
-暫くお待ちを-
「…イテテテテ。…狂暴女」
「全く、土井さんがそこまでケダモノだとは思わなかった」
「う…カラダが勝手に…」
ホントにもう、
顔だけはタイプなんだからさ。
ちょっとクラッときちゃったじゃないか。
顔の熱を下げるため、手団扇で扇ぎつつ、私は説教モードに入った。
「アンタ達の本性がそんなだからこそ、女のコ達は『本当に大事にして貰えるか』を見極めたいんでしょーが」
「ふーん」
気の無い返事だ。ヒヨッコめ。
よーし、それなら…
「では土井さん、テストをしましょう」
「テスト?」
「そう、テスト。
来週の『月イチ晩御飯』の時、あなたが私に、さっきの“チューOK”サインを出せることが出来たら合格。
…もし出来なければ」
私はひとつ間を置くと、悪辣に笑んだ。
彼がゴクリと唾を呑む。
「これ以上のレッスンは無意味。よって、パートナーは解消する!」
「な…なんて横暴な!」
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