lesson3 キスのタイミング

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次の日。 1課のオニ、土居係長は、今年初めて休暇を取った。 ってなわけで、向こうのシマの係員は大喜び、文字通りオニの居ぬ間にと、ノビノビ雑談している。 私の机には『ゴメン』と一言だけふせん紙メモを張り付けた、コンビニ袋が置いてあった。 昼休憩。 袋の中のサンドイッチとオニギリ2コ(炭水化物多くない?)を食べ終えた私は、久しぶりの日課を楽しんでいた。 「で……君ら付き合ってるわけ?」 パチン。 黒い碁石が盤上に置かれる。 対局するはウチの村澤(ムラサワ)課長、絵にかいたような退職前のオジサマだ。 「あー……ええまあ」   “仮” がつくけどな。 途端に、部屋に残っていた1、2課の連中が、私達の周りに集ってきた。 目下彼らの一番の関心事項、だが土井(かれ)の前では怖くて聞けぬ。 今日が絶好のチャンスという訳だ。 「そうそう、それそれ。それですよ~。 町田さん、もー、あちこちスゴい噂。 結局のところ、どうなんです?あの土居係長と、どうして?どうやって?」  一番槍は当然とばかりにアフター5に命を懸ける2課のフジサワさん、私の席の斜向かいにいる女の子だ。 「…い、イヤね。友達の友達の紹介で偶然ってか…でもまだ、お試し期間ってことで~…」
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