lesson3 キスのタイミング

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振り返った三橋君は、ニヤッと嬉しそう笑った。 「ああ。土井さん? 病欠だよ。 ここんとこ深夜まで残業でさ。昨日も熱っぽい顔して、調子悪そうだったしな~。 心配だったら帰り寄ったげたら?」 「あ、そか。…ありがとう」 そっか。 忙しかったんだ。 私ってば、そのうえ弁当まで作らせて… ちょっと悪かったかな… 「…町田?おい、町田ちゃん!」 「ふぇ?」 「ふぇ、じゃない。おまえの番」 爪楊枝をかみながら、課長が気だるそうに盤を指した。 「あー、ハイハイっ」 白い碁石を、ポチっと適当な箇所に置く。 黒の碁石を指に挟んだ課長は、盤上を睨みながら呟いた。 「…俺りゃあ、良いと思うがね」 「え、この手?」 「イヤお前が……ひと月前より随分と明るい顔してるよ。 昼の対戦相手がいないのは困るけどな。 はい、終わり」 「ああっ、チョット待っ…」 その時、ちょうど終了のチャイムがなったので、課長は道具をサッサと集め、ロッカーに納めに行ってしまった。
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