lesson3 キスのタイミング

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もー、バカバカッ。 私達、皆からそんな風に見えていたなんて… 今さらだけど、顔から火ぃ吹きそうなほど恥ずかしい。 熱い頬を両手で挟み、私は自分のデスクに向かう。 全く。 私が彼のお世話をしてやってるというのにさ。皆がカンチガイしているというのは、腹立たしい限りだ。 大体ヤツが、中庭なんかであんな事しようするから… もー、バカバカっ。   でも。 椅子に腰掛け、パソコンを起動させながら、私はふと考えた。 今日の休みはちょっと気になる。 毎日残業(知らなかったよ)だってのに、お弁当まで作ってくれて… 彼、相当無理してたのかな。 オカズもわりと豊富だったし… 朝早く起きて作ってくれたんだろうな。 アイツ、ピントは明後日の方向なやずれてるけど、 案外、優しい所あるんだよね。 不意に三橋君の言葉が頭をよぎった。 『行ってみれば?』   …チョット、見舞いとか寄ってみるかな… イヤイヤ!ダメだ! 私はブンブン頭を振った。 今日は読みたい本があるし、そもそもヤツの家知らんし。 …でも待てよ、デンワかラインくらいなら… イヤイヤイヤ! 私からヤツに伝えることなんか、何もない! …でも、明日の弁当くらい作ってやるかな… イーヤイヤイヤイヤ! あれは自分で言い出したヤツの義務だ! そうだ。 …そうだよ。 私は期間限定の、単なる仮のカノジョ。 ビジネスライクにやってくだけ。 下手な情は…… 傷つくだけだ。
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