lesson3 キスのタイミング

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さて。 課題デート、当日。 終業を告げるチャイムが流れ、ついクセでさっさと帰ろうとした私は、カバンを持ったところで彼にひっ捕らえられた。 「じゃ、行こうか、町田さん」 あ~~れ~~ フロアの皆がマジマジと見守る中、私は引き摺られるように会社を後にした。 「企画ってのは、難しいもんだな」 「え」 今回のデートのことを言っているようだ。手を繋いでキッチリ車道側を歩く彼が、眉間にシワを寄せている。 「考えすぎて熱が出た」 「あー…」 なーるほど。 こないだの休みは知恵熱だったってわけか。 『疲れてるのに悪かったね』 なんて、本当は謝りたいんだけど、つまらないプライドがそれを許さない。 意に反して口を突いて出たのは、可愛くもない憎まれ口だった。 「そうですよー、生み出す側はタイヘンなんです。 だからアナタね、むやみに他所さまの予算をポンポン落とすのは…」 「それとこれとは話が別」 「あ、そーですか、そーですか」 きっぱり言い切るヤツを見て、やっぱり謝らなくて良かったと思っていると、 「まあでも、言葉くらいは気を付けようかな…とは思った」 案外素直な顔で言う。
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